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HOME > 鵬玉会 > 夢録 > 十九 斎藤一ご子孫 藤田さん1 > 十九 斎藤一ご子孫 藤田さん2
4)大陸の風景
▲大陸からの引き揚げ。内地を前に亡くなられた引き揚げ者の葬儀。過酷だったのだろう。 |
藤田さん 父は満州で召集を受け、終戦時は陸軍中尉として宮古島に出征していました。そのため、満州からの引き揚げは、母と私と私の妹、母の兄の一家が一緒でした。
武田 宮古島!
藤田さん 誰もが父のことを「死んだだろう」と思っている中、生き残って再会できたのです。
武田 よかったですねえ!終戦のときのご様子をお聞きしていいですか?
藤田さん その頃のことは幼かったためによく覚えていないのです。ただよほど強烈な印象だったのでしょう、引き揚げの時の2つのシーンだけは覚えています。
武田 どのような?
藤田さん 無蓋(むがい)の貨車に乗っている光景です。
武田 屋根がない、ということですね?
藤田さん はい。それに各人の荷物が敷き詰めたように置かれ、その上に人がびっしり乗っているのです。その列車がだだっ広いところをトコトコ走っているのです。
武田 いかにも混乱期の大陸的な光景ですね。
藤田さん もう一つの印象的なシーンは船の中で、先程の無蓋貨車同様に、人がびっしり乗っていた光景です。
武田 そのような混乱の記憶なんて、聞いていないと風化してしまいます。今日は歴史の風景に語り継がないといけない、ものすごく貴重なお話をお聞きしていますね。
藤田さん 母の苦労は、あまりに幼くてわからなかったのですが、大変だったろう、よく戻れたな、と思います。
5)強運の一族
武田 一言で言ってはいけないでしょうが、「強運」なんでしょうね。
藤田さん その後私は東京を中心に関東におりました。入社後20年間、国内勤務でしたがその後米国工場建設プロジェクトに移りました。
武田 アメリカ、ヨーロッパ、アジアと海外赴任、海外のお仕事で活躍されたんですね。
藤田さん そうですね。会社生活の後半24年間の半分以上を海外で過ごしました。今は日本に落ち着いて暮らしています。
武田 世界でご活躍できたのも、終戦の混乱の中生きて戻れた強運がついていたからですよね。お父さまも死んでおかしくない宮古島から生還された強運がおありです。ひいお爺様の斎藤一さんにいたっては、幕末の混乱期、新選組というまさに戊辰戦争まで続く激戦を生き残られ、明治になっては警視庁抜刀隊として西南戦争も戦われ生き残られた。まさに強運です。
藤田さん 祖父は職業軍人で、日露戦争を戦いましたが、生き残って帰ってきました。
武田 !まさに強運ですね!
藤田さん そうですね。私はいつも、運が良いと思っています。
武田 斎藤一さんのご一族は、藤田さんに続くもって生まれた「強運」がついているのかもしれませんね。その「強運」とは何か、が今日のテーマなのかもしれません。私は、今日そのオーラをいただいて帰ります。
6)「お前は死にたいのか?」
▲新選組三番隊隊長 斎藤一。近年藤田五郎(斎藤一)さん次男のご子孫のところから発見された。目鼻の通ったいい男でありながら、修羅場をくぐった目は凄みがある。 |
藤田さん (笑)私は祖父にかわいがられました。その祖父から曽祖父の話を聞いたことがあります。
武田 斎藤一さんですね。
藤田さん 祖父から「お前のひいお爺ちゃんは新選組の幹部だった」と幼いころに初めて聞いたときは驚きました。よくわかりませんから、「これは大変なことを聞いた。人に言ってはいけない話だ」と誰にも言いませんでした。
武田 近藤勇のご遺族宮川清蔵勇武先生も当時は「新選組は悪役のイメージで・・・」とおっしゃっていました。今はようやくいろんなことがわかってきましたからね。
藤田さん はい。話は変わりますが、父がある時、何気なくのれんを頭で分けて外に出ようとしたのを見た祖父から、「男には一度外に出たら7人の敵がいるのだ。頭から出ようとした時に、頭を斬られたらそれで終わりだ。しかし足から出るならば、仮に足を斬られたとしても、座りながらでも敵と戦うことができる。頭でのれんを分けて外へ出るなぞと、みっともないことをしてはいかん」と叱られたそうです。
武田 え?
藤田さん そののれんの脇に刺客が隠れていることも考えて気をつけなければならない、ということですね。
武田 !なるほど!そう言われてみれば、下手をすると首をくれてやることになるかもしれませんね。この話には痺れました。そういう心構えが、斎藤一さんを生き残らせたんでしょうね。
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