夢録 
20  新選組三番隊隊長 斎藤一直系ご子孫
藤田さん

(後編)    
19  新選組三番隊隊長 斎藤一直系ご子孫
藤田さん

(前編) 
18   
17 
(後編)    
16 
(前編)    
15   
14  無外流居兵道 範士九段 第十五代宗家 塩川寶祥照成 先生 
13  天然理心流 宮川清藏勇武 九代目宗家   × 無外流明思派 新名玉宗宗家 
(後編)
 
12  天然理心流 宮川清藏勇武 九代目宗家   × 無外流明思派 新名玉宗宗家 
(中編) 
   
11  天然理心流 宮川清藏勇武 九代目宗家   × 無外流明思派 新名玉宗宗家 
(前編)  
10  土方歳三 資料館 土方愛館長 
(後編)    
09  土方歳三 資料館 土方愛館長 
(前編) 
08  天然理心流 勇武館副会長 井上雅雄先生
(後編) 
07  天然理心流 勇武館副会長 井上雅雄先生
(前篇)  
06  天然理心流 宮川清藏勇武 九代目宗家
(後編)
   
05  天然理心流 宮川清藏勇武 九代目宗家
(前編)
 
04  新選組近藤勇 局長ご遺族 宮川豊治さん
03   作家 島地勝彦先生 
02  無外流明思派 新名玉宗宗家
01 作家 北方謙三先生
 
 
   
 
 
 
   
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第3回の夢録は、作家島地勝彦先生。

島地先生が雑誌「Pen」に連載なさっている「サロン・ド・シマジ」
に掲載された「北方謙三は美しき妖刀でマスターを斬った」。
ここに無外流居合の鵬玉会会長が登場します。

作家のペンにかかれば、どのように表現されるのか。
一瞬の居合の魅力をすくいとったその文章を先生の許可をいただいて転載します。


島地 勝彦(しまじ・かつひこ)
「週刊プレイボーイ」(集英社)の編集長として同誌を100万部雑誌に育て上げる。その後、「PLAYBOY」編集長、「Bart」創刊編集長などを務める。柴田錬三郎、今東光、開高健、瀬戸内寂聴、塩野七生をはじめとする錚々たる面々と画期的な仕事を重ねてきた伝説の編集者。2008年11月集英社インターナショナル社長を退き現在はコラムニスト。シガーとシングルモルトとゴルフをこよなく愛する。『知る悲しみ やっぱり男は死ぬまでロマンティックな愚か者』など著書多数。
新宿Men's Isetanにはシマジ氏のセレクトで商品が集められたセレクトショップとバーを持つ「サロン・ド・シマジ」がある。
WEB上でリアル・シガーレビュー@サロン・ド・シマジ(40%OFF!+tax シガーダイレクト)Nespresso Break Time @Cafe de Shimaji(講談社)Treatment & Grooming At Shimaji Salon(資生堂)「百年の店、百年の言葉」(日経レストラン)を連載中。





北方謙三は、
美しき妖刀で
マスターを斬った
(雑誌Pen 2/1号)

作家・北方謙三はいま、密かに居合抜きを習っている。
ゴルフクラブではなく、真剣を振り回すとは、いかにも北方謙三らしいではないか。

夕なずむ三浦半島に張り出した瀟洒な別荘のハーバーへ、時間きっかりに、白い美しいクルーザーが滑るように入ってきた。
操舵していた北方は、陸の客人「やあ」と軽く挨拶をした。客人は無外流居合六段、武田鵬玉であった。

この別荘は昔、ダグラス・マッカーサーが使っていたという由緒正しいものらしい。
北方は腕に脳みそを埋め込んでいると噂されるほどの豪腕多作作家である。
しかも常に上質な作品を紡ぎ出している。だからこの別荘の主人になれたのだろう。

広い別荘の庭には、切り株の上に巻藁が立てられてあった。
母屋から現れた北方謙三の姿は、洒落たビーチファッションからすでに武士の渋い姿に変貌していた。
それはまさに「独り群せず」の主人公光武利之の姿だった。

 
雑誌Pen 2/1号(阪急コミュニケーションズ) 「北方謙三は、美しき妖刀でマスターを斬った」 北方謙三先生と無外流居合 鵬玉会会長の交流が描かれる。

「独り群せず」の最後に、剣を捨てたはずの主人公が、天然理心流の新選組の面々と対峙する場面がある。
あの気迫に満ちた姿とダブって見えた。
別荘の前の海に落ちる大きな夕陽を浴びた剣豪・北方謙三は、刀を鞘に納めたまま、巻き藁を敵と見なし、一足一刀の間合いまで近づいた。

ふいに周りに妖気が漂った。
文豪は鯉口を切り、鞘をすっと引いた。
潮合、抜刀した刹那、拝み取りにとった柄を上段に振りかぶり、ためらわず巻き藁に振り下ろした。

巻き藁は見事に真っ二つに斬り落とされた。北方は刀の切っ先を動かさず、あたかもそこに敵がまだいるがごとくに微動だにしなかった。
すうっと後ろに下がったかと思うと、静かに血振りをして納刀した。

その夜は風もなく、まもなく大きな満月が中空に浮かんだ。
薄暗い海面が不気味にきらきらと輝いていた。


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