流租 辻月丹
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無外流の流租辻月旦は、形をただの形にしてしまうこと、
その表す精神が何であるかが伝わらなくなることをおそれて後世に残そうとしました。
それが「無外真伝剣法訣」です。
禅宗の大森曹玄老師も絶賛した、禅語を駆使して描かれるその世界観は、
無外流を学ぶのに精神的な成長も求められることを示唆しています。
まさに「さらに参ぜよ三十年」です。

大森曹玄老師の一言

わたくしもかなり多くの伝書を見たが、かれ(流租辻月旦)の伝書ほどその内容、文章等において充実したものはちょっと見当たらないと思う。
(中略)
「無外真伝剣法訣」の)末尾にこう書いてある。

 右無外真伝の剣法は、禅理を以て教導いたす処、貴殿禅学御了知の上、当流の剣法御懇望、且つ御篤志につき云々

(中略)
このように真向こうから禅をうたっている流儀、あるいは伝書は、剣禅一致といわれる剣の世界においても稀有のことであろうと思う。わたくしは寡聞にして無外流の外には、まだ一つも見ていない。

大森曹玄老師紹介
明治37年(1904年) - 平成6年(1994年)8月18日)は臨済宗の禅僧、花園大学の学長。また、直心影流剣術第15代・山田次朗吉の弟子でもあり、直心影流剣術の「法定」の指導も行った。山岡鉄舟ゆかりの高歩院の住職を務め、鉄舟についての著書もある



智 神妙剣
仁 万法帰一刀
勇 獅王剣


一 獅王剣
地に踞するの威
窟を出ずるの態
擲を返すの機
  太極より出ずれば、その象を見がたし
  気象より発すれば、その痕を窺い易し(うかがいやすし)

大森曹玄老師の一言

踞地の威、出窟の態、返擲の機と語をつけ、その後に「太極より出ずれば、その象を見がたし 気象より発すれば、その痕を窺い易し」としてある。これなども臨在の四喝の一つのように、金毛の獅子が地に踞って(うずくまって)いるような、すさまじい気迫でジッと敵に対して構え、やがてその獅子が窟を出てゆくように敵を威圧しながら歩を進める。間(まに入った途端、おそらく圧迫された敵が苦しまぎれに打ち出したであろう一撃を、ハッシとばかりに斬り返すという技のように想像される。その出窟も返擲も、太極と名づけられる絶対無の世界から、無心に音もなく色もなく発するから「その象(かたち)」を見ることができない。もしそうでなくホンのわずかでも動く気配があれば、その痕跡が象を残すからそこをしてやられる、というのが後の対句の意味であろう。


二 翻車刀
互換争いあるに似たり
鼓無還て動かず

大森曹玄老師の一言

鼓無の「無」は「舞」ではないかと思われるが、これなどどういう技かは知らなくとも。その剣名と語と照応してみると何となく想像できるようなきがする。彼我互いに主となり客となって、想法の太刀があたかも車輪のように回転し、入り乱れて戦う。しかも中心一点の微動もないとい技のように想像されるではないか。



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